【高雄】台湾は南に行くほど感性・親日度・コスパが高いという話
みなさん、こんにちは。ヒロク アサイです。
今日は台湾は南に行くほど感性・親日度・コスパが高いという話です。
最近出張で台湾にいくことが多くて、そのほとんどが台北なんですが、今回は高雄へ行ってきました。
日中は仕事で遊べないので、仕事が終わってから夜フラフラして、それっぽいものを食べてなんとなく帰ってくるんだろうなぁくらいの気持ちだったわけです。
正直行くまで「台湾の一番南にあるちょっと大きい街」くらいの認識しか持ってなかったし、一番有名な場所すら知らないレベルでした。
でも実際行ってみると、感じざるをえなかったんですよね。
高雄ポテンシャル高すぎだろ
これまで、台北・台中・淡水・九份・桃園なども行ってきたのですが、群を抜いて興味をそそる街だったので、それらポイントをまとめてみようと思います。
1、企業、行政の施設の活用方法がとてもフリーダム
高雄の海沿いに「駁二芸術特区」というエリアがあります。
元々ここは高雄港の倉庫として1973年に建設・利用されていた施設ですが、時が経ち老朽化などもあり利用されない施設群となっていました。
その後、2006年に高雄市文化局がこの施設を引き継いだ後、港湾都市としての魅力ある街づくりを目標にかかげ、そのために若いクリエーターたちの実験創作の場所としてこのエリアの再建築・解放を始めました。
倉庫の壁一面に絵が描かれていたり
倉庫の上にモニュメントが飾られていたり
手作り雑貨のフリーマーケットが開催されていたりします。
また、このエリアには行政が管理していた倉庫だけではなく、企業が管理していた倉庫も隣接していて、そこも駁二芸術特区として扱われています。
当時、製糖会社の保管倉庫だった施設も今ではライブハウス、ギャラリー、博物館、本屋として再利用されています。
ちなみにこの製糖会社、「台糖(現、台湾製糖)」という会社なんですが、日本と深いつながりのある会社だったりします。
日清戦争に勝利した日本は清朝から台湾を割譲され、そして時の総統が産業振興として製糖業を奨励したことにより、長州五傑に名を連ねる井上馨が後援し、三井財閥(現、三井物産)などから出資を受け、1900年にこの会社は誕生します。
また、高雄に建設された台糖の工場は当時、台湾最初の最新機械製糖工場であり、農業などを管理する殖産局の局長に就任した新渡戸稲造の支援を受けて、台湾最大の製糖工場として発展していく歴史があります。
※台糖はコンビニ事業やガソリンスタンド事業なども行っている
海外でビジネスすることが一般的ではなかった幕末、明治維新(1867~1868年)の時期に活躍していた人たちが、海外である台湾でビジネスを始めるのにたった約30年しかかかっていないというのが驚き。
今とは比べものにならないほど、変化がある時代だったんだろうなぁ。
砂糖の原料であるサトウキビが運ぶ手段として台糖は鉄道事業も行っていて、そのため倉庫エリアのすぐ隣には車両基地がありました。今はその場所に芝生を敷き誰でも利用できる公園として生まれ変わっています。
当時利用されていた車両の一部やクリエーターの作品も併設されています。
海が近いこともあって、風が強く吹いているので凧揚げしている人が結構な数でいた。
駁二芸術特区はかなり広範囲で四方1kmくらいに広がっています。歩き方を間違えるととんでもなく歩くことにあるので事前に調べて歩く方が吉です。
※上の地図は全体図ではなくエリアの一部図
時期にもよりますが、高雄は沖縄よりも南にあるのでめちゃくちゃ暑いです。ちなみにこの日(6/25)の気温は34度。湿気もヤバイのでダブルでしんどい。
とはいえ、こんな好立地な場所に行政と企業がこの規模でスペースを開放してるってあまりないので、その点日本だとなかなか見れない判断の踏みきり方だなと思う。
行政と企業はあくまで場所を提供し、公民連携して恣意的に何かを仕向けるみたいなこともしていないようだし、とても好感が持てるやり方。これが高雄の街柄なのかもしれない。
そのせいなのか結構自由な創作物が点在していて、一貫性はほとんどなく、そのカオスっぷりから日本の秘宝館を彷彿とさせる感じもある。
それも含め高雄という都市の雰囲気を触れることができる場所なのでぜひ行ってほしい。
●駁二芸術特区
2、暑い地域ならではの冷たいフルーツ、デザートがうまい
あまり台湾と聞いて南国!というイメージが湧かないと思うんですが、高雄はめちゃくちゃ南国です。
年間平均気温は25度ほどですが、最高平均気温が30度を超える月が6か月もあるので十分南国風情満載なわけです。高雄は経度で沖縄より南に位置しているので、それだけで暑いことが分かると思います。
なのでデザートも南国フルーツを使ったものが多くあります。しかしせっかくのフルーツも常温で食べては30度の熱気にやられてしまい、口の中に甘さがモワッと広がるだけで微妙になってしまいます。そこで高雄ならではのアイデアが詰まっためちゃくちゃオススメしたい冷たいフルーツとデザートをご紹介します。
1、パパイヤミルク
看板に親切にカタカナで書いてある通りですが、パパイヤの実をフードプロセッサにかけて、それに牛乳を三分の一入れ、最後にクラッシュアイスを混ぜた至高の飲み物です。
これが不思議なほど甘い。パパイヤってこんな甘かったっけ?って思うほど甘い。恐らく南国の陽を浴びて糖度が究極まで高められてるからだと思う。
砂糖の甘さとは違うさっぱりとした甘さなので、後から喉が渇かず、牛乳もそんなに入ってないので口中がベタつくこともない。そして1杯約185円。なんだよ、ただの最高かよ。
2、高雄式かき氷
パッと見た感じかき氷感は皆無ですが、ちゃんとしたかき氷屋さんです。
台湾でかき氷といえば、マンゴーがたくさんのったかき氷ですが、高雄のかき氷は普通のかき氷と一線を画します。早速注文をしてみます。
まずかき氷に何を入れるかを選びます。
ここですごいのが選べるものに分かるものがほとんどないということ。そしてフルーツやアイスクリーム的なものが選択肢に一切ない。ギリギリ分かったのはタピオカとあんこくらい。そして色味が最高に悪い。フォトジェニック皆無。
とりあえず何となく甘そうなものを勘で選んでいきます。
よくわからない具材を選び終わると、その器の上に氷がそのままのせられていきます。色味悪いのをごまかすためなのかな。
そして最後に蜜をかけたら高雄式かき氷の完成。
見た目が質素なので完全に舐めてかかったんですが、これがやみつきになるうまさ。ヤバイ。
かき氷の食感だけではなく、他の具材の食感が同時に楽しめて、主張の強い甘さがないので後を引かずサクサク食べれる。よくわからない具材は、恐らくイモか栗を加工したものっぽい。なんだこれ、新食感。
氷を掘ってみると中身はこんな感じ。お世辞にもオシャレとは言えないけど、温度と湿度が高い環境なら間違いなくこれを食べる。
そして1つ約130円という超親切プライス。現地のかき氷といえばこれらしく、地元の人がめちゃくちゃ店内にいた。仕事帰りに食べて帰る人が多いらしい。納得。
3、招牌濃茶
フルーツでもデザートでもないけど、ここは紹介しておきたい。
ざっくり言えばお茶屋さんなんですが、かなりの種類のお茶があって、茶葉の種類と苦さからお茶を選ぶことができます。
せっかくだから濃茶にしようとしたら店員の人に「あんた日本人だろ?最初から濃いのはやめときな。薄い方にしたほうがいいよ。」的なことをいわれたので渋々薄茶を選択。
え、パック茶なんかーい。と思いつつストローさして飲んでみると、
めちゃくちゃきついメンソール味のお茶
日本にはない味で、これ濃茶だったらどうなってたんだって思うレベル。でもなぜかスーッと飲めて嫌な感じがしない。脂っこいものを食べた後に飲んだら絶対楽になる。黒ウーロン茶よりこっちの方が100倍いいと思う。
現地の人は日中にジュース感覚でこれを飲んでるらしい。日本にあればハマる人は絶対ハマるやつだと思う。
ここまでのものはすべて後驛駅の近くにある「吉林夜市」という夜市で食べることができます。ぜひ行ってみてほしい。
●吉林夜市
ちなみにここまでのお店は、高雄でベジタリアン向けの豆乳ラーメン店を展開しているシンくんに案内してもらった。(写真左がシンくん)
日本に4年間留学してたから日本語もペラペラ!日本で学んだ知識を地元高雄に持って帰りラーメン屋をオープン。お店はオープンしてまだ1年経ってないけど、既に台湾のテレビ局から数多く取材されている超人気店!
シンくんのお店でだしている「豆乳キムチラーメン」。チャーシューの代わりに入っているのはごま油を和えた湯葉。濃厚な甘さとごま油の香りがラーメンと想定外のマッチングで未体験の味だった。
店内には茶室をイメージしたスペースがあり、日本の文化を踏襲しつつも高雄ならではの解釈を付加して独自の表現を展開しているとのこと。
ありそうでなかった心遣い。便座に触れずとも便座を上げられる。 pic.twitter.com/TUdO1q9MAL
— 広く浅い (@hiroku_asai) 2017年6月26日
こんなところにも心遣いができるのは正直すごい。
高雄に来ることがあれば、ぜひ寄ってもらいたいお店です!
ちなみに店内では、歴代の仮面ライダーのOPとEDが永遠ループで流れてます。完全にシンくんの趣味。これが仮面ライダーの曲だなんてお客さんは知らないから別にいいんだよとのこと。シンくんのそういうとこ好き。
●萩豆乳拉麵
facebook|https://www.facebook.com/RAMENHAGI/
3、アニメ・萌えカルチャーへの造詣が深い
この萌えっ萌えなブースですが、一体何かと言いますと、高雄の地下鉄運営をしている「高雄捷運」が2014年から開始したプロジェクト「前進吧!!高捷少女(進め!たかめ少女)」のものです。
何がすごいって高雄の地下鉄はすべてこの萌えキャラで統一されているということ。
地下鉄構内の広告から
冒頭で紹介した構内に設置された専用のブース。「SWEET→FOREVER」最高の片道きっぷ!
— 広く浅い (@hiroku_asai) 2017年4月11日
啓発ポスターもすべて「高捷少女」で統一されている。
日本の秋葉原でさえここまでやってないというのになぜ高雄の地下鉄はここまで徹底して萌えを推しているのか?現地で話を聞いてみました。
高雄捷運は開業後5年連続で多額の赤字を出しており打開策が必要だった
※世界一美しいと言われている高雄捷運の「美麗島駅」
高捷少女の登場までにもあれやこれやの手を講じたものの成果が得られず、5年連続で多額の赤字を垂れ流していました。
少し話はそれるけど、台湾自体アニメや萌えカルチャーの文化が根付いており、台湾マイクロソフトのサービスのイメージキャラクター「藍澤光」や台湾マクドナルドの店員によるコスプレ大会など、プロモーションに萌えカルチャーを活用した事例があったり、高雄市長や台湾総統も萌えカルチャーに対し理解があり、官民問わず萌えカルチャーへ積極的に関わっていくという風土が元々高雄にはありました。
そんな中、2014年にクリエイター集団であるSimon社から、高雄捷運との合作として、従業員役の設定でオリジナルキャラクターを創作し、啓発ポスターや看板などで一貫起用することを提案されます。高雄捷運はこれを承諾し、ここから高捷少女の歴史はスタートします。
1、で紹介した駁二芸術特区で行われる高雄動漫祭※1の最寄り駅で、高捷少女の等身大パネルを設置した結果、当初想定していた2,500人を大きく上回る11,000人の来場者を記録し、それをきっかけにSNS上で情報が拡散され一気に人気コンテンツへと成長していきました。
※1、台湾版のコミケ。通称FF。日本のイラストレーターさん、声優さんも多数ゲスト参加していたりするイベント。
日本でもライトノベル化されたり、
各キャラクターのイメージソングやPVが作られたり、この他ゲームが作られたりと人気コンテンツの王道な展開を見せている。
萌えカルチャーに対して官民問わずここまで寛容な地域は他にはそうないはず。駁二芸術特区の下りでも感じたことだったけど、楽しいことやろう!という感覚がとても強く感じられる。この環境がこれからも続けば、高捷少女のようなキラーコンテンツがまた出てきてもおかしくない。
この空気感を現地でぜひ感じてほしいと思った次第です。特に日本のエリートオタクの方たちには特に!
4、物価が台北と比べて安い
日本でもあることですが、地方都市は首都圏と比べて物価が安いというのが一般的だと思います。台湾も例に漏れず地方都市の方が物価は安いです。
そこで台湾第2の都市、高雄。日本でいえば東京と大阪のような関係で、台北が東京、高雄は大阪といった感じです。東京と大阪にはそれほど大きな物価の差はありません。ですが、台北と高雄にはかなり大きな物価の差があり、圧倒的に高雄の方が安いのです。
今回宿泊した台北と高雄のホテルを例に挙げてみます。台北、高雄どちらも1泊の価格が同じホテルですが内容に雲泥の差があります。
上の写真は今回宿泊した台北のホテル。
内装はキレイで、駅へのアクセスもまぁまぁ良いですが、部屋が狭い、低層階で景色も悪いです。(仕事で来てるから全く問題ないんだけど)
全フロアホテルというわけではなく、4階までは店舗が入っており5階から上がホテルという作りになっています。台湾だと割とこういうホテルをよく見ます。
近くにクラブがあるため、夜になっても低音がドンドン鳴り響いています。結構これは辛かった。(前回の台北のホテルもそうだった。運悪すぎる。。)
あとホテル側のミスで僕の部屋が予約できていなかったみたいで、チェックインするのになぜか6時間くらい待たされたりして割と踏んだり蹴ったりでした。
では次に高雄のホテルを見てみましょう。
上の写真は今回宿泊した高雄のホテル。
歴然とした質の差がハッキリ分かると思います。こちらの方が圧倒的に部屋もキレイで、広くて、インテリア内装も贅沢で景色も34階という高層階なので最高です。
外観も豪奢な造りで堂々としています。高さ186mの高層ビルで高雄を代表する高級ホテルとして名を連ねています。もちろん五つ星ホテル。
ホテルの中には飲食店、宴会場、国際会議センター、フィットネスクラブ、プールといった施設があり、漢神百貨店という台湾最大級の規模を誇る百貨店も同居しています。
メインエントランスも立派!
ロビーも広々としていて混雑している感もないです。すぐ隣に落ち着いた雰囲気のカフェも併設されており商談などもできます。
また、カウンターでは日本語も使えます。僕がコンビニで買ったジュースを持ってロビーをふらふらしてるとコンシェルジュの方が日本語で「こちらの袋をご利用されますか?」と声をかけて紙袋を持ってきてくれたり。サービスレベルがとんでもなく高い。これで同じ金額ならどう考えても高雄のホテルを選ぶ!
これ以外に足裏マッサージが台北の約半額くらいだったり、屋台のごはんも台北の屋台と比べて3割ほど安かったりします。逆にコンビニなど全国展開しているものはどこでも同じ金額なのであまりお得感はなかったです。
このように物価は安いけど、サービスの質が落ちないことを考えると高雄の方がコスパが良いと言わざるを得ません。
5、日本人に異常にやさしい
これは高雄に限った話ではないんですけど、高雄にいる間はよりそれを感じることができた気がします。なので現地の人に何でなのかな?と素直に聞いてみました。
日本統治時代の政策の影響が大きい
日本が統治するまでの台湾は、衛生環境も悪く伝染病が蔓延し、アヘンが根深く存在し、山賊が闊歩しているような状態でした。
その後、統治を開始するにあたり日本は現状改善に莫大な予算を投入します。
衛生環境を改善し、アヘンを撲滅し、学校教育を推進し、治安維持、各種インフラの整備を行っていきました。
それが今の台湾の基盤として生きており、それを台湾の人たちは今でも感謝しているというのが親日の根幹にあると分かりました。
なぜ高雄の方が親日を感じやすいのか?
台湾には外省人と本省人と先住民という3つの民族がいます。簡単に説明すると、
外省人:日本統治終了後、中国本土から来た人たち(国民党関連の人たち)
本省人:昔から(日本統治中も)台湾に住んでいた人たち
先住民:台湾に起源をもつ人たち(アミ族、タイヤル族など)
といった感じです。
外省人の人たちは第二次世界大戦時に敵として日本軍と戦っていた人たちで、親日とは離れたところにいる人たちでした。
そして終戦後中国国内の政争に敗れ、台湾に流れ込み、そのほとんどが台北周辺に住むようになります。中・南部に住む外省人は少ないため、必然と中・南部には本省人と先住民の人たちが多くなります。
結果として日本統治時の政策に感謝している本省人と先住民の人たちが中・南部に多いため、台北と比べて親日を感じやすいというのが分かりました。
ちなみに本省人と先住民の人たちは戦時中、日本兵として志願した人たちが多くおり、そこからも親日の一端が垣間見えた気がします。
上のインスタは台湾先住民の血を引く台湾の友達のアイリス。かわいすぎる!アイリスたんマジ天使!彼女も日本が好きで、趣味がマラソンだから東京マラソンにいつか参加したいって言ってた。全力で応援する、全力でな。
高雄のまとめ
日本人の海外旅行先ランキングでこれまでハワイがずっと1位だったのが、最近ハワイに代わって台湾が1位になりました。
旅行代理店の方に話を聞いたら、ここ最近は台北方面のフライトはどこも予約がいっぱいって言ってた。台北市内の松山空港は羽田空港との直行便が数多く出ていて利用者が多く、台北の少し下にある桃園空港には日本からのLCCが就航しており、また台北駅と直通の急行電車(通称MRT)が完成したことで40分ほどで台北に行けるのでこちらも利用者が増えている。
それに対して高雄空港への直行便は成田空港からのみで便数も少ない。台北経由で高雄に行けなくもないけど、新幹線で1時間半くらいかかるのであまりオススメできない。
初めて台湾に行くとなるとやはりアクセスもいい台北になると思いますが、もし2回目がある時はぜひ高雄に足を伸ばしてほしい。
1〜5でお伝えしましたが、台北とは違うローカルな雰囲気が残っていたり、日本と密接に繋がった過去の歴史が今もなお残っていることや、南国独特の様々な文化形成は台北にはない独自のおもしろさです。
僕自身も今度はプライベートで高雄を訪れてもっと深堀りしてみたい!絶対まだまだおもしろいところが眠ってるはずだから!
それでは、また!